不妊治療はしばし「出口の見えないトンネル」などと表現されることがあります。一度や二度の不妊治療でうまくいけばいいのですが、長期化した場合、心身の負担に加え経済的負担も大きくなってしまいます。そうした状態が続くと、多くの患者さんに見られるのが『夫婦間での意識のずれ』です。
子どもが欲しいという気持ちの差が浮き彫りになって、それが原因で夫婦仲がギクシャクしたり、最悪の場合離婚に至ってしまうケースもみられます。妻は体外受精してでも欲しいと思っているが夫はそこまでして欲しくないと考えていたり、辛そうな妻の姿を見て「もうやめよう」と言い出す夫もいたり、ただでさえ負担のかかる不妊治療に夫婦間のストレスを抱えてしまうことになりかねません。
治療を始める前からうまくいかないことを想定する人はなかないないと思いますが、少しでも不安を覚えてきたら、早めの段階で話し合うことが大切です。治療が進み、焦りや不安が大きくなってしまうと冷静な話し合いができないこともあります。ですから夫婦間で不安な種を少しでも和らげるよう、お互いの思いを確認し合うことも不妊治療には大切なことなのです。